SNOW HEAVEN

妙高を拠点に活動するフォトグラファー集団「STAY.RAW」インタビュー


Yuya Masutake(カメラマン) / Toru Miyashita(チームエディター、グッズ制作、賑やかし) / Ben Shirakawa(カメラマン)

フリーペーパー「SNOW HEAVEN」の巻頭グラビアを担当しているフォトグラファー集団「STAY.RAW」。2018年、カメラマンの白川勉、桝竹祐也の2人からスタートし、2019年にはデザイン、マネージャーとして宮下徹が加入した。今回は創設メンバーの3人にチーム結成のキッカケや、「SNOW HEAVEN」掲載の作品、年に数回カメラマン同士で競い合うBattle Of Baseについて聞いた。

3人が繫った関温泉スキー場でのイベント写真(Phpto : Ben shirakawa Rider:Toru Miyashita)
「2011年、関温泉スキー場企画のイベント「The Room」にて。「ゲレンデのど真ん中に部屋を制作し、そこでピザを食べる」という、関温泉でしか出来ないイベント。面白い企画には面白いメンツが集まり、ここで3人が繋がった。」

活動をはじめたきっかけを教えてください。

宮下 元々、3人ともスノーボードをしていて、桝竹と私は共通の先輩を通じて知り合いだったんです。私と白川も仕事で一時期一緒だったこともあって、プライベートでもスノーボードやサーフィンをする仲間だったんですけど、妙高の関温泉スキー場で色々イベントをしているうちに3人が繋がって、顔見知りになりました。2018年頃に、カメラマンの2人がお互い連絡を取り合って、何か面白いことをしようということで流れができて、2019年に私も声をかけていただきました。先シーズンからライダーの梅原颯太が加入、今年の春ぐらいから堀川 剛と、主田綾佳の2人にBattle Of Base(以下、B.O.B)の手伝いや、アドバイザーとして入っていただき、今は6人になりました。主にB.O.Bでの活動が第一にあるんですけど、それ以外に各々がライダーと個別に撮影をして作品を残し、コンテストに出すこともあります。

名前の由来を教えてください。

桝竹 カメラ用語で、なんの現像もしていないことをRAWデータっていうんです。要するに僕らは何の脚色もせず、ありのままの写真で勝負をしているチームというのを伝えたくて。

活動に対する想いを教えてください。

白川 ライダーを撮るにあたって、自分が撮った写真でライダーが表に出て行く嬉しさというか楽しさがありますね。人を撮ってます。なかなか地元の人って自分から言って来ないので、私のスタンスはプロアマ問わず、撮ってくれっていう貪欲な人を撮っている感じです。

桝竹 活動に対する想いは、勉さんと基本同じ。写真を通して、ライダーの表現を僕らが代わりに表現していくんです。各エリアで活動しているローカルのライダーのフックアップを僕らを通してできればなっていうのはありますね。


(Photo : Yuya Masutake Rider:Souta Umehara)
「ロッテアライリゾート全面協力により実現できたライダー招待制のイベント「Suicide Solution」。真夜中の暗闇にライダー達が躍動した。朝方まで関わってくれたピステンチームにも感謝。」

作品の特徴を教えてください。

桝竹 一つは僕たちが興味があるもの、撮りたいものを撮るっていうのが元々のコンセプトなので、かっこいいと思うライダーを撮っています。主に、スノーボード、スケート、サーフィンって俗に言う3S。その文化っていうのがかっこいいって思うからこそ、それしか撮ってなくて。

白川 僕は自然と3Sフォトグラファーになった感じ。もともとは子供を撮るのがメインで、桝竹くんの活動に引っ張られて今に至るっていう。

「SNOW HEAVEN」表紙(Phpto : Ben Shirakawa Rider : Holy)

今回、作品をSNOW HEAVENの冊子にもグラビアとして使用させていただきましたが、どれもすごく印象的でした。たくさんの作品の中からどのように選ばれたのですか?

宮下 できるだけ新潟で撮影されたものを選びました。

掲載した作品は夜に撮影された作品が多い印象を受けました。どのようなところにインスピレーションを得て撮影されたのでしょうか?

白川 この撮影方法はストロボのことをまだ知らない、まだ持っていない頃に思いつきました。何かの情報で遠隔で光らせることができると知ったんです。ストロボはこれをやりたくて買いました。やってみると想像以上に満足のいく結果になって。なので、夜間はパウダーの日を目掛けて大体ストロボを足につけて遠隔で光らせる撮影をしています。この時はちょっと飛べるところがあったので、ストロボをつけて飛んでもらいました。結果的に光が回ってくれて、背景の木が浮き出てくれたカットになりました。夜の撮影が多いのは、夜は自由に時間が取れるからです笑。本当は明るい時間に撮りたいです笑。


(Photo:Ben shirakawa Rider:Hironori Hirata)
「STAY.RAWの代表的企画Battle Of Base(B .O.B)にて。限られた時間、限られた範囲でどれだけ面白い写真が撮れるのか、皆、バチバチでやり合ってます。」

活動の一つ、Battle Of Baseについて教えてください。

桝竹 Battle Of Base(以下、B.O.B)は、主にSNSを活用したチーム戦。カメラマン1人に対してライダー3人が1チームになるんですが、今STAY.RAWにカメラマンは僕と勉さんしかいないので2チーム。僕と勉さんの戦いです。今までの大会でしたら、ライダーさんを主にすることが多かったと思うんですけど、このイベント自体はカメラマンが主導となってかっこいいと思われるロケーションにライダーと一緒に行って撮影して、SNSでいいねの数をかけて戦います。名前の通りエリアを決めて戦うのがコンセプトにあるので、昨年は、群馬県、兵庫、岐阜に行きました。例えば岐阜の奥美濃でさらにエリアを絞って、写真を撮り合うとか。エリア内であればスノーリゾートや、ストリート、バックカントリーなど場所は問いません。それぞれエリアの特徴だったりのところを捉えた写真だったり、それぞれカメラマンとライダーとかのやりとりで変わってきます。

ライダーはどのような方にお願いしているんですか?

桝竹 STAY.RAWのアカウントで、1ヶ月かけて募集し、その中から3名ずつ計6名選んで、あとはカメラマンとチーム分けをして決定します。撮影は基本的に、土曜日の朝集合して日曜日の夕方の17:00ぐらいまで。2日間限定で行います。

選定の基準はありますか?

桝竹 基準はありません。メンバー内で選考をして、あとは男女比率とかを考えながら選びます。プロのライダーもいますが、一般の方が応募していただいても全然いいです。


(Photo:Yuya Masutake Rider:HikaruTaira)
「STAY.RAWの代表的企画Battle Of Base(B .O.B)にて。アイディア、風景、ライダー。コメントは必要ありませんね。」

思い出に残っていることはありますか?

白川 参加してくれるライダーは、みんな個性を持っています。チーム戦ということで、仲間になった個性が違うライダー同士のスポット探しが面白かったです。

桝竹 チーム戦において、2日間のチームワークはとても大事で、作品を作り上げる中でそれぞれが協力しあって撮影に挑む姿が印象深かったですね。

過去のバトルではどちらが多く優勝されたんですか?

桝竹 今笑ってる方です。

白川

優勝の決めては何だったんでしょうか?

白川 それはわからないですよね。撮った人やライダーが気に入ってても、結果がぜんぜん違ったり。だから出してみないとどっちがいいかはわからないですね。自信を持って3枚出すんですけど、残念な結果になるときもあります。

今シーズンは、開催されますか?

桝竹 開催する予定です。楽しみにしていてください。

今後の展望について教えてください

桝竹 僕はオフシーズンのどこかで、各ライダーさんたちと冬に撮りためた写真やB.O.Bの作品で展覧会をできたらいいなと思っています。

白川 B.O.Bを基本にSTAY.RAWの名前を覚えていってもらえたら嬉しいですし、撮ってもらいたいなって思わせたいですね。


「外注すれば綺麗な仕上がりで、大量生産出来るのですが、1枚づつ、自分たちでハンドプリントしています。一つずつ仕上がりが違うのが面白いところ。売上は活動費とさせて頂いています。」

宮下 B.O.Bについてはイベントを通して一般の方にも、STAY.RAWの活動を体感してもらったりする場であると思うので、興味があれば参加して欲しいですね。

俺は2人の写真が好きで、メンバーが好きでやってるので、6人みんなでやりたいことや心が動かされることを続けていけたらと思っています。もともと2人とは友達から始まってるんで、人気が出たりメジャーになるのは喜ばしいんですけど、みんなで楽しいこと、心が動かされることをやりたいなっていうのが大事。なんていうかプロの方々ってすごいじゃないですか。ロケーションやバックカントリーでのとても危険な撮影は、もちろん圧倒されるし、写真に釘付けにされるんですけど、同じようなアプローチではなくて、2人の写真はそのスケールではなくともアイディア次第で面白かったり、アーティスティックだったり。表現の仕方でこんなことができるんだっていうのをいつもすごいなと思って見ています。

また、アパレルやグッズ製作もしています。僕たちはロゴデザインから版を作ってプリントするところまで全部手作りでやっていて(キャラクターについては外部でデザインして頂きました)。利益だけで言えば市販で作った方が安価で綺麗にできるんですけど、そうではなくて、一つ一つの個体差も含めて持った人が特別感を持てるものを作って行けたらなと。売上は少しでも活動費の足しになればいいと思っています。webショップから購入できますのでご覧ください。

PROFILE

宮下徹:1972年生まれ。新潟県妙高市出身、在住。28年前、関温泉スキー場リフト下にスキーではない一本のラインを見て、跡の正体に疑問を持ったことからスノーボードを始める。STAY.RAWではチームエディター、グッズ制作、賑やかしを担当。

桝竹祐也:1979年生まれ。奈良県出身、大阪市在住。スノーボード歴25年、カメラ歴12年。ライダーの写真を撮るためカメラを始める。2021年5位、2022年3位 cowday 写真部門入門 受賞。海外でのフリーライドパークイベント「holy bowly」に主催者側から招待された数少ないカメラマン。

白川勉:1978年生まれ。新潟県上越市出身、在住。スノーボード歴26年、カメラ歴11年。2015、2016年東京カメラ部 日本の47枚(新潟)、2019、2021年にRes Bull Illume Semi-Finalistに入選。NIKKOR photo contest 64th 3部門、cowday 2022 風景写真部門に選ばれる。

INFORMATION

STAY.RAW

SHOP : https://stayrawcrew.theshop.jp

Instagram : https://www.instagram.com/stay.raw_crew/?hl=ja

金子
金子
SNOW HEAVEN編集部員。旅行、寺社仏閣、祭り、伝統文化をこよなく愛する。編集部内では珍しいスキー派。

SHARE

BACK TO LIST
TOP
妙高を拠点に活動するフォトグラファー集団「STAY.RAW」インタビュー

CONTACT

当メディア、記事に関する
お問合せ等はこちらからお問合せください。

SNOW HEAVEN