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【小出スキー場】「屋根のない体育館」が紡ぐ未来への道


新潟県魚沼市にある小出スキー場は、小規模ながらも自然に恵まれた場所に位置し、”屋根のない体育館”をコンセプトに掲げ、幅広い世代に教育や健康促進、環境保護に取り組んでいます。令和3年には「新潟県環境賞地域創り部門」を受賞し、今年は環境大臣表彰「地域環境保全功労者表彰」も受けるなど、活躍の場を広げています。今回は、運営や里山の生態系のモニタリングを行う傍ら、尾瀬のガイドとして自然の魅力を伝える江崎さんを通じて、小出スキー場の知られざる取り組みや思いを紹介していきます。

横須賀市出身。東京環境工科専門学校卒業後、都内の園芸店にて勤務。
その後、尾瀬の魅力にハマり新潟県魚沼市へ移住。
まず初めに、小出スキー場はどんなところにありますか?
新潟県の魚沼市に位置し、町の中心部から徒歩圏内にある、珍しいスキー場です。高速道路のインターや駅からのアクセスが良く、スキーやスノーボードだけでなく、雪を楽しんだり、山を散策したりすることもできます。また、魚沼市の美しい景色を一望できるので、様々な意味で”ちょうど良い場所”だと思います。
山頂から魚沼市が一望できる
スキー場としての特徴を教えてください。
標高が130mから最高で262mと、比較的低い位置に位置する小さなスキー場です。コースのうち初心者・中級者向けが8割を占めています。また、キッズゲレンデや雪遊びのスペースも完備されており、初めてスキー場を利用するお子様や初心者の方にも優しいスキー場です。さらに、県内外からの学校授業を受け入れているので、スキーや雪に触れたことがない子供たちへの対応に慣れているスタッフが多いのも特徴となっています。
リフト3台、全7コースのコンパクトゲレンデ
初心者も多く利用するため、スタッフもフレンドリーでとても親切
スノーシーズン以外はどんなことをされていますか?
オールシーズンのコンセプトは「屋根のない体育館」です。具体的には、健康づくり、教育、環境保全の3つの柱を基に、さまざまなイベントを開催しています。夏になると、スキー場は「小出公園」として都市公園として活用されます。この管理や、隣にある「見晴らしの湯こまみ」という温泉施設と連携した企画など、さまざまな活動を展開していて、1年中、さまざまな地域や世代の方々が、屋外での活動ができる場所を目指し、運営しています。
併設する見晴らしの湯こまみ
星空観察会は親子で学べる人気のイベント
「屋根のない体育館」というコンセプトと3つの柱、本当に素晴らしいですね!このコンセプトは、ずっと前から掲げていらっしゃるのですか?
「屋根のない体育館」というのは、法人が設立されてから今や11年になりますが、最初からのコンセプトでしたね。3つの柱は、理事長が医師であることから最初は健康づくりと、こども達への教育の場作りから始まりました。そこに私たちスタッフは、自然環境を大切にしたいという視点があったので、環境保全を取り入れました。経営陣の考えと現場で実践する私たちの思いが合わさって、今はこの3つの柱になった感じです。
健康増進のための中高齢者のスキー教室。定期的に開催している。
この活動への思いは?
スキー場と言えば、一般的には消費する場所といいますか、レジャー施設で遊びに来るところという場所ですよね。しかしそれだけではなくて、雪が降るっていう自然環境とか、山の地形を感じながら斜面を滑って遊ぶ経験は、何か大事にしなきゃいけないと思うんです。なので自然に感謝する心だったり、そういった感性を育んでほしいという思いですね。
冬の山頂裏側は自然豊かな美しい景色が広がる
ツリークライミングやネイチャーゲームウォークなど、とても楽しそうなイベントがありますね。
普段、木登りの機会もなかなかありませんよね。だからこそ、高い木の上から見下ろす景色、感覚を味わって欲しい。どんなことでも構いませんが、そこに新しい発見があるといいなと。例えば、自分の地元の公園で少し木登りをして、高い場所から町を眺めると、また違った感じがしますよね?こういった楽しみが地元にもあるんだと思ってもらえると嬉しいですし、樹木を介して自然に触れたり、木を大切に思ったりするきっかけになればと思っています。
確かに今、そんな機会や場所が減っている感じがしますよね。
その通りですね。他にも、公園内には外来種と呼ばれる植物が結構生えていますが、それが猛威をふるっています。ですので、環境保全と教育の一環として、それらの外来種を取り除く作業を行っています。ただ抜くだけでは面白くないので、子供たちにも手伝ってもらって、抜いた植物を使って草木染めを試みるなど、楽しみながら自然について学ぶスタイルで取り組んでいます。
草木染めを楽しむ子どもたち
猛威を振う植物の外来種って、、、
外来種って本当にたくさんいるんです。中でも、抜き取り作業を行っている「オオキンケイギク」というのは、特定外来生物といって、日本で特に増えると大変な植物に指定されているんです。
オオキンケイギクの抜き取り

ブラックバスみたいな感じですか?
そうです!まさにブラックバスの植物版で、この植物が増えると本来そこにあった環境が影響を受けてしまうんです。昔は公園が緑になって綺麗になればいいよねと、良かれと思って行ったことなんですが、その公園の緑化のために撒いたはずの「オオキンケイギク」が広がって問題になってきている。こういうことも伝えることができればいいなと。標高の高いところは、こうした植物が増えると下流にどんどん広がっていくんです。だから山で食い止めなければいけないと感じています。

外来種の問題に対する視点は、いつから持たれるようになりましたか?
私は環境系の専門学校を出ているので、そういう視点で山を見ることが大事だと考えていました。それを子供たちにも知ってもらいたいと思い、イベントの企画や里山の生態系のモニタリングを始めました。外来種の問題は、知らないと目に入ってこないですし、よく分からないじゃないですか。
里山の生態系をモニタリングをする江崎さん(真ん中)
確かに。私、全然見分けつかないですもん。
貴重な植物があるかどうかと言ったら、特にそういうこともないんですけど、普通の種類が普通に存在することが大事なんです。生態系は貴重なものがあるから大切というだけでなく、”ここにいるべきものがちゃんといる”ということも大事なんですね。何かそういう視点でイベントができたらいいなと。
小出公園に群生するカタクリは雪国の象徴。
自生するヤマユリは夏の開花にはとてもいい香りを放つ。
なんか、すごい勉強になります。
「地域環境保全功労者表彰」を受賞出来たのは、そういった様な活動を継続してきたことを評価していただいたんだと思います。でも、イベントに参加してくれた人や協力してくれた方々がいての受賞なので、それは代表としていただいたようなものだと思っています。
山への感謝を込めて、シーズン終わりにはゲレンデクリーンを毎年行っている。
最後に、まだ小出スキー場に来たことがない方へメッセージをお願いします!
1年を通じてさまざまな活動を行っていますので、まずはそれを知っていただきたいです。いつでもウェルカムです!いろんな世代が自然と親しんでもらえる場所だと思うので、ぜひ遊びにいらしてください!

冬には魚沼産のお米を使った餅つきなど、人気のイベントも盛りだくさんの小出スキー場。スキーやスノーボードを楽しむのはもちろん、雪や自然などを楽しむこともできるので、この冬はぜひ足を運んでみてはいかがでしょうか?

INFORMATION

小出スキー場

WEB : https://www.sp-koide.org

神田
神田
SNOW HEAVEN 編集部
趣味はサーフィン。2019年に湘南から新潟に帰郷しスノーボードを始める。ニックネームはきゃんだ。BEST BODY JAPAN 2018 新潟大会優勝。お酒が好きだが失敗が多い。

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